第7回GRACE年次大会in 大阪 大会長 伊藤義徳
GRACE第7回大会は、対面、オンラインをあわせて予想を上回る251名の申込みがあり、盛会のうちに幕を閉じました。
ハイブリッド開催の難しさで、冒頭には通信トラブルもあり、参加の皆様にはご迷惑をおかけしましたが、スタッフと参加者の皆様の協力とコンパッションにより素早く回復し、スムーズに運営を続けることが出来ました。皆様のご協力に感謝致します。
ミニ研修会、活動報告会等、本年次大会ではじめての取り組みもいくつかありました。ミニ研修会は、本来2~3日かけて行うプログラムを4時間半にぎゅっと濃縮しました。日本のGRACEを初期から支えてきた気鋭の講師陣が講義とワークを厳選し、コンパクトにGRACEの神髄を紹介してくれました。アンケートの反応も大変好評でした。
二日目午前のジョアン・ハリファックス老師のご挨拶は力強く、勇気をもらいました。また、特別講演をお願いしたマインドフル・セルフ・コンパッション(M S C)の創始者であるクリス・ガーマー氏は、ニュージーランドの素敵なコテージから、コンパッション溢れる講演を頂きました。通訳の海老原由佳さんとも息ぴったりといった感じで、とてもわかりやすくご講演いただきました。
こちらも初の取り組みである活動報告会では、これまでにGRACE研修会に参加経験のある皆様が、現場で、日常で、GRACEを活用したり応用したりした経験を、口頭発表形式でご報告頂きました。看護師教育、登山とGRACEの融合、屋久島でのGRACEリトリート、オリジナルGRACEヨガの開発・・・いずれもとても魅力的なご発表で、GRACEの可能性を感じる機会となりました。
大会企画シンポジウムでは、コンパッションを育む多様なプログラムの第一人者に集って頂き、各プログラムの紹介と、マインドフルネス・コンパッションを社会に活かすためのアイデアを頂きました。指定討論の髙宮世話人代表からは、「社会に役立てる上での教育の重要性」「日本文化に根ざすマインドフルネス・コンパッション」さらには「GRACEは死に関わる人々のためのプログラムだが、各プログラムと死についての関係は」といった問いが発せられ、時間の限り議論を行いました。こうしたシンポジウムではいつもそうですが、議論の時間はいくらあっても足りないなと感じました。
GRACE年次大会では、プログラムの合間合間に簡単なボディワークを挟み、いつでも身体と心をゆったりとリラックスさせながら大会に参加出来るように工夫がされているのが特長です。参加された皆様が、身体、心、頭でGRACEを楽しむ場となったなら幸いです。
改めまして、参加された皆様、運営に携わって頂いた皆様に心より感謝致します。
参加者の声(アンケートより)
1.参加形態
2.ご職業
18% 看護師
15% 心理師(公認心理師/臨床心理士)
12% 医師
12% 理学療法士/作業療法士/言語聴覚士他コメディカル・・・
3.「よかった」企画
88% ミニ研修会
82% ジョアン・ハリファックス老師のご挨拶
76% クリストファー・ガーマー氏の特別講演
76% 活動報告会
76% ボディワーク
70% 大会企画シンポジウム
(複数選択式)
4.大会に参加しての満足度
5.参加者の声(抜粋、一部改変)
〈大会全体を通して〉
・今回セルフコンパッションという言葉の知識だけで参加させていただきました。GRACEのことを知ることができて、とても感銘をうけております。
・専門分野や知識に関係なく、受け入れてくださっている雰囲気が感じられてよかった。
・生きていくための力を受け取れたような気がしています。ZOOM参加よりも会場参加にしてよかったと思いました。色々な方と話すこともできました。また、参加していきたいと思います。
・実際にバーンアウトを経験しましたが、原因のひとつにセルフケア不足があったと改めて認識しました。GRACEを実践にしっかり取り入れたいと思います。
・誰にでもヴァルネラビリティがあり、自分にもあり、誰もがそのままで赦されるということと、セルフスチュワードシップで回復に向かう力を育んで行くことを学べたので、実践してみたいと思います。
〈ミニ研修会について〉
・半日の中にGRACEのエッセンスがしっかりとカバーされていて、初めてでも沢山の学びがありました。スタッフの方のトラブル時の落ち着いたお声がけにずっとこのお部屋に気持ちも途切れず参加する事が出来ました。
・初日の研修会のワークは、ずいぶん深くやるのだなあ、とやや驚きながらも、思わぬ深掘りや自分と向き合う時間となりました。
・老師の本を読んで、老師のように慈愛に満ちた人間にはなれないと感じてしまった時もありました。でも今回ワークの時、自分の深い所にあった気持ちに気付いたり、しなやかな心を発見する経験をしました。丁寧にグラウンディングをした結果だと感じました。
〈老師のご挨拶について〉
・コンパッションとはコンパッション以外の要素から出来ているのだということ。
・人をケアする人にこそ、むしろ全ての人に必要な考え方であり、スキルだと思いました。 マインドフルネスがベースにあり、そこから医療従事者や介護従事者など人を支援する人が今パッションというスキルをどう使うかが学べるのがGRACEなのではないかと感じました。
・自分を本来の場所に戻す作業、それを教えてもらったようには思います。忙しさ、苛立ち、不安、後悔、保身などで、すぐに心がふわふわと彷徨ったり、硬くなったりしがちだけど、それに気付いて自分の軸をできるだけ本来の位置に戻すようやってみます。
〈クリストファー・ガーマー氏の特別講演について〉
・ガーマー博士のワークをしていて、自分がつらい思いをしたことを見ないふりをしていたことに気づくことができました。そして、本当は言ってほしかった言葉もわかることができました。つらいことと向き合うのは力がいりますが、見ないふりをしているよりも、前に進むことができるので良かったと思いますし、このワークと出会えたことが今回の一番の収穫でした。
・自分を大切にすることを教えていただきました。プレゼントをもらったときに素直に感謝出来ない自分の気持ちの謎が解けました。 安心、安全がいかに大切な要素であるかを学びました。
・海老原由佳さんの通訳がわかりやすくてよかったです。
〈活動報告会について〉
・活動報告会で、現場で格闘されている各職種の皆様を身近に感じることができ、勇気づけられ、コンパッションを随所に感じることができました。
・活動報告会の中で、登山であったりリトリートの話がありましたが、老子も自然の近くで日々暮らしていらっしゃいますし、自然の力を借りるというのは、すごく大切な事なんじゃないかと思いました。
〈大会企画シンポジウムについて〉
・全部良かったのですが、特にシンポジウムが素晴らしかったです。色々なコンパッション関連プログラムがある事は知っていますが、各専門家が概要を教えてくださるだけでなく、お互いを尊重しながら意見交換している姿が、まさに体現する、という事を見せていただいたいたような時間でした。
・無理をせずとも茶道など道の中に教えが含まれていてマインドフルネス出来ている、このような習慣を大切にして実践いくとよいことがわかりました。
・コンパッションは教えるのではなく体現することだということが最後に心に残りました。背伸びをせず、等身大の自分で日々の生活の中で取り組んでいきたいと思います。
アーカイブ配信のお知らせ
大会企画の内容は、アーカイブ配信でご覧頂けます。ホームまたはアーカイブ視聴申し込みより、お申し込み下さい。